▼全身^^*
「あいつを惑わす様な事は止めろ…!」 怒りを抑えた静かな声とは対照的に我愛羅の双眸は燃えさかる炎のようにカブトを捉える。 「そんな心算はないよ。惑うのは彼の勝手だ。君には関係ない。そうだろう?それとも…、」 カブトはそこまで言うと一旦言葉を止め、唇の端を吊り上げた。 「君はこの僕に…君の大切な彼を取られるんじゃないかって、心配しているのかい?」 目を眇め、片方の眉だけ器用に吊り上げ嘲笑を浮かべる。 「…何…、だと…?!」 ユラリ、と辺りの大気を震わせ我愛羅の身体が僅かに傾げば、 ザワリ、と足元の砂が騒ぎ不穏な動きを始める。 それらを感知しながらもカブトはわざと我愛羅の神経を逆撫でするような失笑と共に辛辣な言葉を吐く。 「やれやれ…。現風影サマは無表情なくせに感情一つも上手く殺せないんだな…」 「貴様…ッ!!」 砂が動くより早く我愛羅の手がカブトの胸倉を掴み、締め上げながらゆっくりと持ち上げる。 激昂する我愛羅にカブトは冷ややかな眼差しだけを向け、ゆっくりと口唇を開いた。 「落ち着けよ。こんなことぐらいで簡単に揺らぐな。風影の名が廃るぜ?」 表面だけ手に取って緩くからかうような物言いでは無いその言葉使いが、微かにカブトの本気を覗かせる。 我愛羅は眉間の皺を更に深くし、得体の知れないこの男をどう始末するかと算段し始めた。 狡猾に相手を己が術中に落としいれようとする冷静さの中で蠢く、獰猛で残忍な本能。 二人の眼が様々な感情に移ろい行くのを、『彼』は未だ知らない。 |
怒リングな我愛羅が描きたかったのです(テヘ☆)